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駐日イスラエル大使への質問


    民主党外務防衛部門会議で、ニシム・ベンシトリット駐日イスラエル大使よりガザ情勢についてヒアリング。

  

 昨日のオバマ大統領就任を機に、イスラエルはガザから撤退したが、ハマス、イスラエル双方の攻撃により多数の民間人死傷者が発生している。先週号のニューズウィークでは冒頭グラビアでその状況を掲載。ハマスの攻撃で死亡した4歳の少女の棺がイスラエル国旗に包まれて埋葬されようという瞬間の写真に、私は胸が締め付けられる思いだった。

  

 部門会議では、開会後約5分間大使がコメントを朗読。その後質疑となり、最初に私から大使に直裁な質問をした。

「かつてイスラエル軍はTarget Killingという概念を自ら作り、テロリストへの攻撃に伴う被害を局限化する努力をしていたはずである。Target Killingとは、ホロコーストで大量のユダヤ人を殺戮された歴史的背景のもと建国されたイスラエルが、自国民に対する攻撃を抑止するために報復を行うとは言え、その際に相手側の民間人犠牲者数を最小限化する道徳的必要性に迫られ、数学科や哲学科の大学教授の協力を求めて、『一人のテロリストを殺傷するために最小何人までの民間人犠牲者が許容されるか』という命題を軍内部で苦悩を重ねつつ検討したもの。だが、最近の攻撃によりガザ地区で多数の民間人犠牲者が出ていることを考えると、既に貴国の軍はその局限化という理念を放棄したように見受けられる。これを貴国の国民や軍はどのように受け止めているのか。」

 

  

 

   大使はTarget Killing の概念を知悉しているように深く頷きながら私の質問を聞き、次のように答えた。「イスラエル軍のモラルは高く、軍事攻撃もハマス拠点のみをターゲットにしている。しかしハマスはあえて住宅地に軍事施設を配置。ガザは世界でも最も人口密度が高い。更にハマスは建物の上に立たせるなどし、市民を人間の盾として使う。またハマスによる攻撃は学校、モスク、市民の家からミサイル発射する形でも行われている。こうした状況の中で、イスラエル軍が作戦の中でガザ地区の市民を殺すことも実際に起きてしまっている。ガザには150万人のパレスチナ人がいる。もしイスラエル軍にモラルがなければ数千人が殺される事態になっていただろう。つまりイスラエル軍はハマスの軍事施設、攻撃拠点のみをターゲットにしているのだ。一方ハマスは8千発ものロケットを打ち込んできた。しかし世界のどこに、(イスラエル軍のように)SMSで何百万もの市民に被害を避ける為の避難メッセージを送る軍隊があるだろう。こうした努力をしつつも、テロとの闘いの中で相手側の非戦闘員の命が失われるのは避けがたいことなのである。アフガンでは07年、8千人ものアフガン人が殺傷された。うち1500人が市民だった。アフガン人が欧米都市に脅威を与えたという事実はなかったにも拘らずである。報道されているように「約100人の市民を一つの建物に避難名目で集め、その後そこに攻撃を加えて殺傷した」というニュースについては情報源を確認する必要があると考える。パレスチナ側がソースかもしれない。繰り返すがイスラエル軍は人道、医療援助も行ってきており、高いモラルを維持してきている」

 

  大使の言わんとするところはこうだ。確かにTarget Killingという概念に基づき被害の局限化を図ってきたが、ハマスがガザの住宅密集地を拠点に攻撃を加えてくるため、イスラエル軍はハマスの攻撃拠点を除去する必要に迫られている。それが民間人犠牲者を出していることは承知し、遺憾に思っているが、自国民の安全を守るためにはやむを得ないことを理解してほしい。

 

  その後、白真勲議員が「イスラエルによる攻撃が報復の連鎖を生む原因となっていることをどう思うか?」と尋ねた際、大使の口調は強い焦燥感を帯び、こう反発した。「パレスチナ人に対しては、こうした質問はあまりなされない。100万人のイスラエル市民がハマスによる攻撃の脅威に晒されてきた。攻撃は8年間に渡り、イスラエル人にも憎悪が生じているのだ。我々は軍事作戦以外の解決方法を求めてきたということを忘れないでほしい。8年間に渡る攻撃に耐え、それを止めるよう求めてきたのである。憎悪の悪循環はそうした中で生まれた。イスラエルの人口は500万。アラブは3億、イスラム教徒全体で15億。500万国民のうちの100万人が脅威に晒されている。日本の人口1億2500万のうち、2500万人が北朝鮮の砲撃の脅威に晒されてきた、と考えてみて欲しい」

 

 部門会議の雰囲気は重く、参加した議員は皆パレスチナ情勢を強く憂慮している様子が伺えた。イスラエル、パレスチナ間に恒久的な平和がもたらされることを心から祈りたい。

 

  ご関心のある方はTarget Killingについて記したWashington Postの記事をご覧頂きたい。06年夏、ワシントンに到着した翌日この記事を読み、強い衝撃を受けたことを今も鮮明に覚えている。ホロコーストで父や母を虐殺された子供が今、イスラエル政府あるいは軍の首脳となり、自国民及び相手市民の犠牲を避けようと苦悩する姿がここにある。

 

                                        2006/8/27 The Washington Post 記事 (PDF)

 

 

 

 

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