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小泉発言と解散政局


小泉氏の発言が波紋を広げている。

先日の給付金再可決批判に続き、昨日はモスクワで再可決の本会議欠席を明言した。

そこで氏の心中と今後の政局を読み解いてみたい。

 

 まず、昨日のモスクワ会見映像を見て私が気づいたのは、小泉氏の目が完全な「政局モード」になっていることだ。これは次期総選挙への不出馬を宣言して以来、「引退ご隠居モード」になっていた目つきとは全く違う。小泉氏のスイッチを「オン」にしたのは、間違いなく竹中平蔵氏によるブリーフィングだろう。2月17日付読売によると、竹中氏はインタビューにこう答えている。「小泉氏には、麻生首相を批判する2日前に会って、最近の郵政をめぐる状況を説明した。かんぽの宿の売却問題をはじめ、一連の郵政民営化つぶしの動きが小泉氏を駆り立てた、と解釈している。小泉氏の再可決に慎重な発言は、郵政民営化をつぶそうとする内閣に、小泉内閣で得た3分の2を使う資格はない、というメッセージだと思う」

 竹中氏の発言を私なりに解釈すると次の通りだ。竹中氏は、最近の自民党内での郵政民営化見直しの動きや、鳩山総務大臣によるかんぽの宿売却見直しに、民営化路線が覆される可能性を強く感じ取った。そして強い危機感をもって小泉氏にその分析を伝えた。郵政民営化を否定されることは、小泉氏にとり政治人生の集大成を否定されるに等しい。郵政民営化を潰そうとする麻生内閣を小泉氏は倒す決意を固め、その行動の端緒となったのが一連の発言に他ならない。

 

 小泉氏が倒閣の決意を固めたことにより、解散政局は位相が180度変わってしまう。予想される先行きは次のようなものではないか。まず、政権支持率が10%前後まで落ちてきた以上、麻生総理では次の総選挙は戦えない。それが自民党衆議院議員の本音だ。年末に官房機密費からそれぞれ1千万円以上の「懐柔資金」供与を受けた(「文芸春秋」赤坂太郎 09年2月号)自民党各派閥領袖も、ここまで支持率が落ちては政権を支えきることはできないだろう。

 よって予算成立後直ちに総裁選を前倒し、新しい党の顔を選んで解散総選挙に突入する。それ以外に自民党が生き残る選択肢はない。ここまでは従前より想像できた展開だが、位相が異なるのはここからだ。小泉氏は明らかに、郵政民営化実行を掲げる候補を推し、総裁にしようと動くだろう。例えば小池百合子氏がそうだ。総裁選では郵政民営化、雇用不安、景気対策と連関し、「小泉構造改革路線」の継承か否定かの路線論争が起きざるを得ない。もし小泉路線を継承する候補が勝った場合は、総選挙を目前にひとまず路線闘争を棚上げし、表面的に一枚岩を装いながらも自民党として選挙に臨む。しかし小泉路線を否定する候補が勝った場合、小泉氏は郵政民営化、構造改革の断行を求め、小池氏などをトップに立てて新党の立ち上げへと動くのではないか。政界引退を表明し、選挙区後継に息子を充てている小泉氏だが、自身は比例名簿単独一位で出馬し、国民に信を問うことも想像に難くない。そのとき自民党は分裂する。

 

 小泉氏の心境に立てば、郵政民営化を否定しようとする内閣など潰れても構わない。歴史的役割を終えつつある自民党を再生する必要もない。郵政選挙で自民党に300に迫る議席を与え、民営化を断行し、かつ5年を超える政権を維持し、引退後は「大勲位」が約束された政治家。日本憲政史上、小泉氏と同じステージに立つのは戦後は中曽根康弘、戦前は伊藤博文だろう。帝国憲法、皇室制度、国会開設など近代日本国家の基礎づくりをほぼ全て担った藩閥政治家伊藤が断行したこと、それは藩閥政治を否定する日本初の政党「政友会」の創設だった。

 私には、小泉氏の境遇が伊藤博文のそれと重なって見える。民営化の断行と構造改革路線の継承を掲げ、新党を創設して戦後政治の幕引きを行い、新たな政治体制を出現させること。「燃焼し尽くした」はずの政治生命は、郵政民営化見直しで再度油を注がれたのではないか。

 上記の見通しに沿った展開となれば、次回総選挙では政権担当能力を失い、国民の信も潰えた自民党が、かつてのソビエト共産党のように歴史的役割をほぼ終える機会となる可能性が高い。民主党、小泉新党、自民党の三者がそれぞれ小選挙区に候補を立て、相見える総選挙。そこで求められるのは、政党の「旗」と指導者の「パッション」だ。小泉氏は郵政民営化という「旗」と稀に見る首相としての「情熱」により大勝した。しかし次の総選挙ではその小泉路線がもたらした雇用不安と格差拡大が大きな争点ともなる。国民の支持を得る「旗」を立てることができるのはどの政党か。そして国民の心を揺り動かす情熱で訴えかけることができるのはどの指導者か。

 

 

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