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原子力安全委員会という不条理  ー予算委員会質疑を終えてー

除染、食品汚染、避難など、今回の事故で国民・自治体・政府が対応に追われる課題は山積する。その根本をたどるとひとつの問題に行き着く。事故後、放射線被曝規制値が曖昧になり、いまだ明確な基準が科学者から示されないことだ。

 

原子力安全委員会は、事故後、食品衛生法上の暫定規制値として「年間5ミリシーベルト」を緊急時の指標と定めた。安全委には、総理・閣僚に放射能汚染対策の専門的知見を示し、政策の選択肢を助言・勧告する責任がある。原子力の安全が国民の健康に直接影響するから、原子力基本法は安全委に(ふつう大臣にしかない)決定権まで与えている。「国民の健康を守るために必要」と安全委が判断するなら、彼らは職責にかけてそれを「決定し」、政府に助言・勧告しなければならない。予算委員会で班目委員長に質したのは「あなたたち科学者はその責任を果たしているのか?」ということだ。

 

90年、安全委は原発の設計の基になる安全設計審査指針を決めた。この指針では「長期間にわたる全交流動力電源喪失は、送電線の復旧または非常用交流電源設備の修復が期待できるので考慮する必要はない」とされた(8月、当時の委員を参議院行政監視委員会の質疑に招致しようとしたが、委員長は逝去、他の委員の所在もつかめず)。でも今回の地震では、東北電力から福島第一原発に来ている送電線が倒れ、非常用電源も津波で流された。安全設計審査指針は間違っていたわけだ。その結果、多くの人が人生の瀬戸際に立たされている。

 

歴代の委員はこの指針を見直すことができる立場にあったはず。そうせずに今回の事故を招いた責任は、全うな感覚をもつ委員ならば感じるだろう。原子力基本法で規定された安全委の権限は、実はとてつもなく大きい。「安全の確保に関する事項について、企画し、審議し、及び決定」し(原子力基本法5条2項)、さらに総理を通じて関係行政機関への勧告ができるのだから。彼らはこの権限を充分行使しなかった。

 

組織は人で動く。残念ながら、安全委には委員長をはじめ、平時も非常時も職責を自覚し動く人物がいなかった。そうした委員の任命に同意した我々国会も深く反省し、国民の健康と安全に関わる国会同意人事に際しては公聴会を開き、候補者の識見を確認することが欠かせないと思う。

 

総理と細野大臣の答弁によると、法制上委員の更迭はできないそうだ。ならば5人の委員は自ら辞表を出すべきだ。


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