前参議院議員 風間直樹 公式ホームページ

国会質問レポート

Report

2019.3.27 本会議 登壇


【You Tube リンク】

https://www.youtube.com/watch?v=I0U9Sf3rhoE

 

【議事録】

○風間直樹君 立憲民主党・民友会・希望の会の風間直樹です。
私は、会派を代表し、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論します。
税制の基本は、公平、透明、簡素、そして国民の納得の四原則の下で考えるべきです。しかし、政府の税制改正はその場しのぎの継ぎはぎだらけの改正であり、国民生活のために必要な改革に真摯に取り組んでいるとは到底言えません。
反対する最大の理由は、我が国経済の現状、国民生活の実態を見れば消費増税を行える状況にはないにもかかわらず、今年十月の消費税率引上げを本法律案の前提としていることです。
安倍政権は、これまで、雇用の改善、賃金上昇、GDPの拡大など聞こえのいい言葉を並べて、アベノミクスの成果を声高に主張してきました。しかし、昨年、毎月勤労統計の不正が発覚し、賃金上昇の論拠とされていた数字が上振れ操作されたものであったことが明らかになりました。我々は、政府に対し実質賃金の参考値を示すよう繰り返し求めてきましたが、いまだに提出されていません。三月の月例経済報告において、政府は三十六か月ぶりに景気判断を下方修正しました。現在、消費税率一〇%への引上げを行える景気、経済状況にないことは明らかです。
また、国際経済の状況を見てもそれは同様です。三月二十二日、米国債券市場では、アメリカ国債十年物の利回りが急低下し、三か月物を下回る長短逆転現象が起きました。この長短逆転は、二〇〇七年八月以来、つまりリーマン・ショック直前以来、実に十一年半ぶりのことです。
長短逆転は不況の前兆とされる動きです。通常、金利は、貸し借りの期間が長い金利の方が高くなりますが、市場で景気不安が特に強くなると、将来の利下げを織り込む形で長期金利が大きく低下し、短期金利を下回ることがあります。米国調査会社が過去五十年の米国の状況を調べたところ、十年物と三か月物の国債金利の逆転状態が十日続いた場合、平均で三百十一日後に景気後退が始まる結果になっています。
このような状況で消費増税を断行すれば、五%から八%への税率引上げのときと同様、個人消費の落ち込みによって我が国経済は一層冷え込み、国民生活は更に苦しいものとなりかねません。本年十月の消費税率引上げは凍結を検討すべきであり、増税前提で作られた本法律案には賛成することはできません。
ところで、ここ最近の政府の経済運営に見られる姿勢に、私は強い違和感を持っています。それは物価上昇率目標二%の放置です。
アベノミクスと異次元金融緩和の開始は、今から六年前、二〇一三年です。当初は鳴り物入りで始まったこの政策も、ここ最近では目標を達成したという趣旨の発言が政府高官から目立つようになり、政府は満腹感を持っているようにも見えます。
そもそも、物価上昇率目標二%の達成は、デフレ脱却のための出発点だったはず。それゆえに、政府と日銀は二〇一三年一月の共同声明にこれを盛り込み、政府は、合理的期待形成学派、またの名をリフレ派の理論的中核であった岩田規久男学習院大学教授を日銀副総裁に送り込みました。異次元金融緩和は円安をもたらし、結果として景況感は改善。一方、二%目標を達成できなかった岩田副総裁は失意のうちに日銀を去りました。
そして、一昨年頃から麻生財務大臣の誘導発言、二%はもういいよが目立つようになります。例えば、二%が当たり前だった目標がほとんどの国で変わってきている、日銀ともよくこの話をしている、二〇一七年十一月の発言。政府と日銀との間では二年はまず無理だということを互いに認識していた、二〇一八年九月の発言などなど。去る三月二十日の財政金融委員会で、麻生発言と安倍総理の考えにそごがあるのではないかという私の質問に対し、総理は、麻生発言の真意は二%を達成するための措置を今すぐにとる必要はないという意味だと苦しい答弁をされました。
政府の心境を例えると、こういうことでしょうか。おなかがすいて窮乏生活をしていたけれども、日銀にミルクをたくさん製造、供給させ、幸い空腹は満たされた。だから、もうこれ以上供給しなくてもよい。しかし、製造元の日銀には大量のミルクの在庫があります。にもかかわらず、政府は、金融政策は日銀の所管と逃げ口上を使い、ミルクの処分を突き放しています。日銀が国債というミルク在庫の処理を誤れば国民生活に大混乱が起きることは明白です。
共同声明で二%達成を約束したのは日銀だけではありません。政府と日銀です。日銀は、政府が共に誓った二%目標の達成のためにミルクを営々と製造、供給したのではないでしょうか。ならば、ミルク在庫の処理は政府にも責任があるはずです。二%達成するための措置を今すぐにとる必要はないという総理発言は見当違いではないでしょうか。
政府が行うべきことは、共同声明が役割を終えたことを明らかにし、二%目標達成の旗を下ろし、日銀の金融政策に柔軟性を取り戻すことにほかなりません。日銀は、二%の縄で縛られたまま、身動きが取れないように見えます。世界の景況感が悪化しつつある中、二%目標のために箸の上げ下げを制約された状態では、日銀が景気悪化の場合に金融政策の手段として金利操作を使えなくなるというリスクがあります。これが他の先進国と最も違う我が国特有の状況です。
平成の大借金王と自らをやゆしたとされる小渕総理は、九八年度三次補正予算で十二兆三千億円、翌九九年度に三十一兆円の国債を発行し、生前、大変なことをしたと思っている、俺は死刑になってもおかしくないなと吐露したと伝えられます。
当時の国債残高は二百九十六兆円、翻って現在は千二百四十九兆円です。異次元金融緩和による日銀の国債買入れもあり、第二次安倍政権の発足後、国債発行残高は九百九十一兆円から千二百四十九兆円へ二百五十八兆円増え、日銀の国債保有額は百二十五兆円から四百六十九兆円へ三百四十四兆円増えたことを指摘しておきます。安倍総理の胸中には今どのような思いが去来しているのでしょうか。
政府と日銀の二人三脚で始まったデフレ脱却、景気回復、財政再建の試み、それが成功したときに可能となるのが消費増税にほかなりません。アベノミクスの根本的哲学、すなわち物価を上げることによりデフレを脱却し、景気回復する、このことをごまかさないでいただきたい。そして、大量の国債発行残高処理を政府自らの責任として直視、対応するよう求めます。
以上を指摘し、私の反対討論といたします。
ありがとうございました。

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