前参議院議員 風間直樹 公式ホームページ

国会質問レポート

Report

2019.5.10 本会議 登壇


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【議事録】

○立憲民主党・民友会・希望の会の風間直樹です。
私は、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、会派を代表して麻生大臣に質問します。
一九九七年以降に発生した国内大手金融機関の破綻に際し、金融システムに対する内外の信頼回復を目的に設立した早期健全化法。今日、その下に設置された早期健全化勘定には利益剰余金が一兆六千億円生じました。本法案の眼目は、そのうち半分の八千億円を国庫に納付することです。そして、残余の八千億円を同勘定に残して将来の必要に資すると同時に、金融再生法の下に設置された金融再生勘定に、金融再生業務の終了の日又は早期健全化業務の終了の日にその一部を移すことを定めるものです。
まず、本法案の意図について端的に伺います。
本法案は、消費増税による影響軽減のための財源を生み出すためのものではないのですか。本法案では、国庫納付させる八千億円を、本年十月に予定する消費税率一〇%への引上げによる経済への影響に対応するための臨時特別の措置、二兆二百八十億円の財源として活用することが想定されています。実に、財源の約四割をこの八千億円に頼る格好となっているのです。つまり、臨時特別の措置は、本法案による利益剰余金の国庫納付なくして成立しません。このような綱渡りの財政運営には疑問が生じます。このタイミングで国庫に納付する目的を伺います。
しかも、臨時特別の措置の中には、プレミアム付き商品券のように政策効果が極めて疑問視されるものも含まれています。早期健全化勘定の利益剰余金一兆六千億円は、公的資金の投入による金融システムの安定化がもたらした果実、国民に有効な施策として適切に還元されるべきであり、ばらまきに用いられてはなりません。財政健全化を標榜している財務省は、この八千億円を国債の償還に充てるよりも臨時特別の措置に充てる方が財政健全化に資すると考えているのでしょうか。見解を伺います。
金融再生勘定では、当時破綻した日本長期信用銀行、日本債券信用銀行が保有する、それぞれ約千五百銘柄、八百銘柄の株式を買い取り、その含み損は現在四百十六億円となっています。麻生大臣は、これらの株式について、今後の金融資本市場の動向によっては含み損が拡大する可能性が否定できないとの認識を示しています。なのに、なぜ、現時点で早々に利益剰余金の半額に当たる八千億円を国庫納付してしまうのでしょうか。
確かに、会計検査院の決算検査報告、衆議院及び参議院の決議では、利益剰余金の適時の国庫納付については指摘をしています。でも、直ちに国庫納付することは求めていません。金融再生勘定が保有する株式の含み損が拡大する懸念を麻生大臣自らが認めているのに、その損失に対応するための財源を簡単に手放してしまうのは矛盾していませんか。金融再生勘定の財務状況について確実な見通しを立てられないのに、今年度に国庫納付をすることの妥当性について見解を伺います。
現在のところ、金融市場にはリーマン・ショック時のような大きな混乱は見られません。しかし、当時、先進国を中心とする各国政府は、破綻に瀕した金融機関に資本を大量注入すると同時に、莫大な国債を発行して景気を下支えしました。日米欧の国債大量発行は、民間債務を政府債務で肩代わりしたとも言われました。このため、金融市場には、高い確率で債務の危機がいつかやってくるという認識も幅広く見られます。実際、昨年の十月、米国の著名投資家がそうした認識を著書にまとめ、インターネット上に掲載したその翌日から、ニューヨーク市場は大きく値を下げ、クリスマスイブの暴落へとつながったと言われましたが、それほど債務の危機への警戒感は高いのが現状です。
仮に、今後の金融市場の動向等により金融再生勘定の財務が深刻な状況となり、早期健全化勘定に留保している利益剰余金を充ててもなお欠損金が生じるような事態へと進展してしまった場合、どのように対処することが考えられるのでしょうか。国が予算措置をすることになるのでしょうか。想定し得る手法を伺います。
本法案では、早期健全化勘定と金融再生勘定をセットで扱っています。しかし、会計検査院の決算検査報告でも衆議院及び参議院の決議でも、預金保険機構の財務の健全性を維持するために利益剰余金を活用することを検討するべきとは指摘しているものの、繰入れ先を金融再生勘定に限定するよう求めてはいません。金融再生勘定以外の勘定への繰入れの要否についてはどのような検討が行われたのか、説明を求めます。
ところで、金融再生業務や早期健全化業務が終了する日というのは、具体的にはどういった状況を想定しているのでしょうか。金融再生勘定と早期健全化勘定は、旧金融安定化法と早期健全化法に基づく資本増強として新生銀行の株式を抱えています。しかし、この処分は、道筋は立っていません。金融再生勘定は、さきに述べたように、破綻した銀行から買い取った株式を経理していますが、株式の市場への売却は平成二十年十月から停止されたまま。その再開については積極的な姿勢が見られません。
政府は、戦後最長の景気回復期間を更新した可能性があるとの認識を示しています。しかし、景気動向指数は下方への局面変化を示しています。仮に景気が後退局面に入ったとすると、金融再生勘定や早期健全化勘定が抱えている株式の処分は進まず、いつまでたっても金融再生業務や早期健全化業務が終了する日を迎えることがないという状況に陥るのではないでしょうか。見解を伺います。
以上をお尋ねし、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕

○国務大臣(麻生太郎君) 風間議員からは、預金保険機構の早期健全化勘定の利益剰余金の国庫納付などについて、計六問お尋ねがあっております。
まず、国庫納付をなぜこのタイミングで行うかについてのお尋ねがありました。
早期健全化勘定の利益剰余金の取扱いにつきましては、平成二十八年十一月の会計検査院の意見表示、平成二十九年六月の衆議院本会議、参議院決算委員会の議決等を受けて、金融庁におきましては、平成金融危機への対応を進める中、預金の全額保護のための約十兆四千億円という巨額の国民負担が確定しているといった経緯や、預金保険機構の他の勘定に欠損金や含み損が発生していること、及び金融資本市場の状況によりその含み損等は変動することなどを踏まえて、財政当局とも協議をしながら総合的な検討を進めてきたところであります。
今般、その検討の結果が得られたことから対応を行うこととしたものであり、具体的には、必要な制度整備を行った上で、早期健全化勘定の利益勘定のうち八千億円を国庫納付することとしたものであります。
次に、預金保険機構から国庫納付と財政健全化への取組についてのお尋ねがあっております。
本年十月に予定される消費税率の引上げに当たりましては、前回の引上げの経験等を踏まえ、低所得や子育て世帯への、いわゆる消費への影響を緩和するプレミアム付き商品券など、引上げに伴う経済的影響を平準化するために十分な対策を講ずることとし、預金保険機構から国庫納付を含む臨時の収入は、こうした臨時特別の措置の財源としてお示しをいたしております。
議員御指摘の国債の償還、ひいては財政健全化の取組は重要であるということは言うまでもなく、こうした臨時の財源を用いて経済への影響を平準化しつつ、消費税率を引き上げ、持続的な経済成長の実現と財政健全化に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、金融再生勘定の財務状況の見通しが不確実な中で、今年度に国庫納付をすることの妥当性についてのお尋ねもあっております。
金融再生勘定は、預金保険機構が旧長銀、旧日債銀から買い取った上場株式などを保有いたしております。そこで、これに伴う将来の損失リスクも十分に勘案する観点から、日経平均株価が過去十年間における平均的な水準であります一万四千円まで下落したとの仮定を置いた上で、金融再生勘定において保有する上場株式に発生し得る含み損を試算するなどして、今回提出しております法律改正が行われた場合に、金融再生勘定の業務のために留保する必要がある金額を約六千二百億円と試算をいたしております。
今般、国庫納付をするに当たりまして、今申し上げた試算に基づく金額を含め、早期健全化勘定の利益剰余金約一兆六千億円のうち約八千億円を引き続き早期健全化勘定に留保するとしているため、今年度の国庫納付は妥当であると考えておるところであります。
次に、早期健全化勘定の利益剰余金を繰り入れてもなお金融再生勘定に損失が発生している場合の対処方法についてのお尋ねもあっております。
現行の金融再生法には、金融再生勘定の廃止の際に損失が発生している場合の対応に関する規定は設けられておりません。すなわち、お尋ねの対処方法は、現時点において制度上は明らかにされておりません。
このため、早期健全化勘定はもとより、金融再生勘定の廃止の際に損失が発生し、国民の負担が生じることがないよう、早期健全化勘定において、過去の実績等も参考にいたしつつ、金融再生勘定を含めた将来の損失リスクを十分に勘案した上で試算をいたして、約八千億円を今後とも留保するということにしているところであります。
次に、金融再生勘定以外の勘定への繰入れの要否に関する検討についてお尋ねがありました。
金融庁におきましては、会計検査院の意見表示や衆議院本会議、参議院の決算委員会の議決等を受け、現在、預金保険機構にある勘定それぞれの保有している資産の状況や支出と収入などを踏まえつつ、早期健全化勘定の利益剰余金を預金保険機構の財務の健全性維持のために活用する具体的な方法について検討を行ってまいりました。
その結果、今回、早期健全化勘定と同じく平成金融危機に対応するために設置をされた、旧長銀、旧日債銀から当時買い取った株式を保有しておりますことから、今後その処分等において損失が発生するリスクに備える必要がある勘定である金融再生勘定についてのみ繰入れ規定を整備することとしたものであります。
最後に、金融再生業務や早期健全化業務が終了する日に関して具体的に想定している状況についてのお尋ねがありました。
金融再生勘定において経理をする旧長銀、旧日債銀から買い取った株式につきましては、平成二十年九月のリーマン・ショック後の急激な株価の下落等を受けて、同年十月から上場株式の処分を原則として停止をいたしております。
その処分の再開につきましては、その含み損益の状況に加え、多額の株式の処分を市場に不測の影響を与えることがないかなど、金融資本市場の動向も踏まえつつ、今後適切に判断をしてまいりたいと考えております。
また、早期健全化勘定において経理する新生銀行株式の処分につきましては、個別銀行の資本政策や金融資本市場の状況に関わる事項でもあり、その見通しを申し上げることは困難でありますが、新生銀行は経営健全化計画を策定し、公的資金の返済に向けて取り組んでおり、金融庁として、同行の取組を促してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、金融再生勘定や早期健全化勘定につきましては、追加的な国民負担を伴わずに業務を終了することができるよう、適切に業務を行ってまいりたいと考えております。