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国会質問レポート

Report

2019.5.9 財政金融委員会 質疑


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https://www.youtube.com/watch?v=edJG5r_EWWk

 

【議事録】

○よろしくお願いします。
西田議員の議論を大変興味深く、楽しく拝見をいたしました。恐らく西田さんがおっしゃる趣旨としては、日本政府はより現状よりも財政出動したとしても財政破綻にはつながらないという趣旨が根底にあるんだろうと思います。
それで、ちょっと最近、西田さんのおっしゃる考え方というのは、御案内のようにアメリカでもかなり言われるようになっていまして、ちょっとこの点を冒頭に確認をしたいと思うんですけれども、今日の委員会でもほかの委員からも御質疑があるようですが、MMTという理論が最近アメリカでは随分もてはやされるようになってきております。
この理論のエッセンスを簡単に言うと、独自の通貨を持つ国の政府は通貨を限度なく発行できると、だから財政赤字が大きくなっても問題ないという考え方のようであります。政府が財政を拡大し過ぎることは財政破綻を招きかねないと、こう考えられるわけですけれども、インフレ率が一定の水準に達成するまでは財政支出をしても構わないと、このMMTの主唱者たちは言っているということです。
私は、このMMTというのはもう全くとんでも理論だと思っていまして、いずれ歴史的に淘汰される考え方だというふうに思っているんです。そこはちょっと西田さんと違うんですが。
それで、今日、黒田総裁にまず基本的なことをちょっとお尋ねし、質疑をさせていただきますけれども、このMMTの、独自の通貨を持つ国の政府は通貨を限度なく発行できると。この背景には、限度なく通貨を発行したとしても財政の信認は揺るがず、通貨の信認も揺るがず、財政破綻にはなり得ないと、なぜなら独自の通貨で独自の例えば国債を発行しているからと、こういうことでありますけれども、それでは、根源的に、この通貨の信認を維持しているもの、その通貨の信用の裏付けとなっているものは何かというのが問われてくるんだろうと私は思うんですね。
それで、例えば我が国の円の場合ですが、これ、現在この円の信認の裏付けとなっているものというのは、総裁はこれどういうもの、何だとお考えでいらっしゃいますでしょうか。

○参考人(黒田東彦君) これはなかなか難しい御質問だと思います。
御承知のように、為替市場がいろいろ変動いたしますと、セーフヘイブンだと称してスイス・フランと日本円が上昇するということが起こりますので、そういう点からいうと、日本円、特に海外からの日本の通貨、円に対する信認は極めて厚いというふうに見えるわけでございます。
ただ、為替に影響するファクターはたくさんございますので、経済状況の違いとか金融環境の違いとか様々なことが影響すると思いますし、それから、基礎的、基本的な要因として確かに、日本が経常収支が黒字であると、それから対外資産、ネットの対外資産は世界最大のネットの対外資産を持っていると、そういったことが一つのセーフヘイブンの、何というんでしょうか、感覚に効いている可能性はあると思うんですけれども、しかし、為替レートは様々な要因で変動しますので、これで通貨の信認を図るというのは難しいと思います。
そういう点からいいますと、結局のところは、やはり物価がハイパーインフレになったりそういうこともなく、物価が安定しているということを中央銀行がコミットして実現していくと、そういう中央銀行の政策に対する信認というか信頼というものが通貨に対する信頼の大きな要素であるというふうに思います。もちろん、財政赤字とか財政の債務の、GDPの大きいとかいうこと自体が財政に対する信認というものの問題を引き起こす可能性はもちろんありますけれども、通貨に対する信認にやはり一番大きい要因は、中央銀行が物価の安定を確保すると、そういうことに対する信頼というものが一番大きな基礎ではないかというふうに思います。

○風間直樹君 日銀総裁のお立場としての認識としては至極ごもっともだろうと思います。
私も、この問題、ここ数年ずっと考えてみたんですけれども、私は、基本的には、一国の通貨の信認の源というのはその国が生み出す富の総体だろうと思っています。ですから、単純に言えば、その国が、例えば日本が生み出す富以上に我が国が国家債務を持てばいずれ財政破綻の危機を招くという、非常に単純なことだろうと思っております。
それで、我が国の場合、今、国家債務が、国と地方合わせて千百兆前後あるんでしょうか。一方、米国の方に目を転じますと、およそ二十二兆ドル、国家債務を米国は抱えていると言われております。それで、米国の場合、ドルが基軸通貨ということもあって、国の債務の発行上限が来るといつもアメリカの連邦議会で、その上限を撤廃してまた上限を上にするかどうかという議論がなされるわけですけれども、私、かねがね不思議なのは、このMMTの理論も出てくるように、アメリカが際限なく米国債を発行し、ドルを世界中に、よく垂れ流すと言われますが、世界中にドルがあまねく普及し、それでも現状のところはまだ財政破綻の兆しは出ていないと。じゃ、それはなぜだろうと。今述べたことを踏まえれば、アメリカが現在生み出している富、国富がドルの信認の裏付けとなっているからということなんですけれども。
ただ、私、ちょっとアメリカの歴史を勉強してきまして面白いことに一つ気付いたんですが、一九七〇年代、ニクソン政権のときに、御案内のとおり、米ドルの兌換を停止しております。この兌換を停止する前と兌換を停止した直後と、そして兌換停止後しばらくたつ現在、この三つのタイミングを比較したときに、米ドルの価値というのがどのように変化したのか、これをちょっと調べてみたんですけれども、実は兌換を停止した直後に米ドルの信認がかなり揺らいでいるんですね、数年間にわたって。
米国内ではかなりのインフレに悩まされた時期というのがあるようなんですけれども、黒田総裁は財務官もお務めでいらっしゃいますからその辺の事情ももしかしたら御記憶かもしれませんが、何かその辺の事情について御見識があればお尋ねしたいと思います。

○参考人(黒田東彦君) 確かに、一九七一年のニクソン・ショックで米国はドルの金兌換を停止したわけですね。戦後の国際通貨体制というのは、俗に金ドル本位制だと言われるように、ドルは金との兌換をする、各国通貨はドルとの間で固定相場を維持すると、こういう形で維持されてきたわけですが、ドル兌換が停止されて、七一年の年末にスミソニアン合意ができましたけど、そのときも米国は金兌換を受け入れなかったわけですね。
ですから、その後、金の価格は大きく上昇したわけですし、御指摘のようなドルの下落あるいはインフレというものが起こったことは事実なんですけれども、その後の状況を見ますと、特に一九九〇年代に入って物価は非常に安定して、これはグリーンスパン議長の下でということもありましょうし、また、御指摘の点でいいますと、九〇年代はアメリカ経済が、ITとかその他いろいろなIT関係の情報産業が非常に盛り返してアメリカ経済自体が非常に強くなったところでありまして、一方で金融政策でインフレを抑制するという形を取り、他方で米国の経済の潜在成長率もむしろ上昇したと言われているわけですから、そういう中でドルの対外価値も比較的安定していたということだと思いますので、御指摘の点もそのとおりだと思いますし、今や実は世界の外貨準備の大半がやはりドルでして、ドルが国際通貨として果たしている役割はむしろ大きくなっているわけであります。
それの背景には、やはり米国の物価が安定しているということと、一方で、米国の経済自身が製造業でなくて非製造業で非常に大きく成長して拡大したということがあるのではないかと思います。

○風間直樹君 せっかくの機会ですので、今日は黒田総裁始め日銀の理事の皆様がほか四名お越しですのでちょっと一言ずつコメントをお願いしようと思うんですが、この一九七一年のニクソンによる米ドル兌換の停止後、今日、米ドルの価値がそうぶれることなく安定している根源的な理由について、もしこれが理由だという御見識があれば一言ずつちょっと御答弁いただきたいと思うんですが。今総裁には御答弁いただきましたから、理事、順次お願いいたします。

○委員長(中西健治君) では、前田理事からお願いします。

○参考人(前田栄治君) 十分な準備がしておりませんので何とお答えできるかあれですが、基本的には、総裁からも申し上げたとおり、やはりアメリカの国のいろんな面での強さということが影響しているんだと思います。一つはインフレが安定している、マクロ政策がうまくいっているということもあると思いますし、やはりポテンシャルといいますか、経済力が着実に高まってきたということがあると思います。
更に言えば、やはり他の国がいろんな金融資産を運用する際に、アメリカにおいて金融市場が効率的で高度に発展している、したがって、そこにドルで資産を預けておくということのインセンティブの一つになっているということも影響しているんじゃないかと、こんなように考えております。

○参考人(衛藤公洋君) もう余り付け加えることも残されておりませんけれども、基本的な要因は、やはりアメリカの経済が活力を維持しているということが大きいと思います。その背景には、やはり基本的には市場を重視し、自由な貿易を始めとして自由な経済活動を維持してきていると、それが活力を生んでいるということが大きな背景としてあります。それを支えるための金融も、これは今、前田が申し上げたとおりですけれども、金融市場がこれまた非常に自由でオープンな形で維持されていると。この二つがやはりドルという通貨に対する需要を生んでいるんだろうというふうに考えております。

○参考人(吉岡伸泰君) ほとんど付け加えることもございませんけれども、まさに先ほど風間委員がおっしゃっていらっしゃったところであえて言えば、金融政策運営につきましても一九七〇年代の失敗に鑑みてしかるべく対応が図られてきたことと、そしてまた、経済の方でも新しい力をどんどんくみ取って、まさにもうける力がどんどん伸びていったと、そういったところがもろもろ影響してきたのかなと個人的には認識しております。

○風間直樹君 どうもありがとうございました、突然の質問にもかかわらず。
それで、黒田総裁、ちょっと日銀の事務方に、別に急ぐ話ではないんですが、調べさせてもらえれば有り難いんですけれども、このニクソンの七一年の金・ドル兌換の停止後のニクソン政権の判断についてなんですが。
私は、ニクソンという大統領は、極めて毀誉褒貶の大きい人だったけれども、非常に政治家としては世界史上まれに見る優秀さを持った人だったと考えていまして、金・ドル兌換停止後に米国内で数年間、かなりのインフレが起きます。ニクソン政権もそれに相当悩んだ末、ある決断をするんですね。その決断、何だったかというと、アメリカの政府の様々な努力により、世界における石油の決済を事実上米ドルで行う体制をつくるという決断です。その決断をし、それを様々な努力を通して実行に移すわけですが、これによってその数年間の米ドルの通貨のぶれが収まったと言われています。
その後、今日に米ドルのその信認というのは続いているわけですけれども、現在では、米国内でのシェールガス、事実上の石油の生産増加に伴って、それまで米国が大幅に中東に依存していた石油の輸入も、米国は今や輸出の方が多いという状況になってきています。ですので、私は、この説が正しいとすれば、アメリカが国債を今後しばらく発行し続けたとしても、当分の間、米ドルの信認というのは揺らがないんだろうと、そういう認識を私は持っております。
で、MMTの理論に戻りますが、大事なことは、この米ドルにせよ日本円にせよ、その通貨の背景にどのような富が存在するのか、そのどのような富と自国の通貨が連動し、ペッグされているのか、これがまさに通貨の信認あるいは一国の財政の信認に直結するのではないかと私は考えておりまして、そういう観点から、我が国の金融政策もそうですし、財政政策もそうですし、産業政策の立案もしかるべく行っていくべきだろうと。つまり、いかに我が国が今後新たな富をこの国内で生み出せるかによって日本円の信認も定まってくるし、また日本の財政に対する信認も安定してくると、こういうことだろうと思っています。
単純に言えば、世界の中で自動車を生産する国が仮に我が国だけであれば、これは輸出財として極めて差別化が図れる日本の大きな富の源泉になるわけでして、自動車、これはちょっと極端な例出しましたけれども、こういった何らかの富を我が国が今後新たに開発し、世界に輸出をすることができれば、日本の財政や通貨の信認も上がっていくということだろうというふうに考えております。
日銀でこの七一年の米ドル兌換停止後のニクソン政権の様々な、ドル安定のためどんな努力をしたか、その調査は御検討いただければ有り難いと思っています。これは答弁必要ございませんので、一応その調査をしていただけるかどうかだけコメントいただけますか。

○参考人(黒田東彦君) そういった調査はしてみたいと思います。

○風間直樹君 ありがとうございます。
では、次の質問に移りたいと思います。
三月のこの委員会で麻生大臣とちょっと質疑をしたんですけれども、麻生さんが日銀の物価目標二%の達成について、ここ数年、いろんな場所でいろんなことをおっしゃっています。麻生さんのお人柄もあるんでしょうけれども、時々べらんめえ口調でいろんなことをおっしゃるものですから、どこまで言ったことが本当なのかということを聞く方もいぶかしみながら聞いているようなところもありまして、ちょっとこの場で麻生さんにそれを確認しました。
麻生さんがいろんな場所でおっしゃっていたことは、要は、政府と日銀の間ではこの物価目標二%の達成はまず二年間では無理だということを互いに認識していたということが一つ目。それから、二%に責任感を感じて不必要なことをやるのはやめたらいいというのは政府と日銀の両方で一致していたというのが二つ目。さらに、二%が当たり前だった目標がほとんどの国で変わってきている、日銀ともよくこの話をしているというのが三つ目であります。
この場で質疑をしましたときに私がこれを尋ねたら麻生さん相当怒りまして、かなり感情的に反発をされたんで、ちょっと痛いところ突いたのかなと、私は私なりに感じたんですけれども。
総裁、いかがでしょう、この政府と日銀の間では物価目標二%の達成が二年ではまず無理だということを互いに認識していたと、そういう話を、二%に責任感を感じて不必要な、やるのはやめたらいいというのは政府と日銀、つまりこれ麻生大臣と黒田総裁ということだと思うんですが、両方で一致していたと、こういう事実はあるんでしょうか。

○参考人(黒田東彦君) まず第一の二年程度ということですが、これは二〇一三年四月に量的・質的金融緩和を導入した際に、それまでの金融緩和と言わば異次元の大幅な金融緩和をするということで、できるだけ早期に二%の物価安定の目標を達成するという政府との共同声明を踏まえつつも、二年程度を念頭に置いてできるだけ早期にということで始めたわけです。
ただ、その後、御案内のとおり消費者物価上昇率は一・五%程度まで、これは消費税の増税の影響を除いても一・五%程度まで上昇したわけですけれども、その後、特に原油価格の大幅な下落が始まり、日本だけでなくて世界中で物価上昇率がほとんどゼロになるという事態が発生しまして、そうした下で量的・質的金融緩和の拡大であるとか、その後にはマイナス金利の導入とかいろいろやったわけですけれども、その時点で、二〇一三年四月から二年程度を念頭に置いてできるだけ早期にという、二年程度を念頭に置くということは既に断念して、共同声明のできるだけ早期に二%の目標を達成すると、そのために引き続き大幅な金融緩和を続けるということになったわけで、その点は政府の方も理解しておられるというふうに思います。
ただ、そうした上で、二%の物価安定の目標を実現するということは、日本銀行として二〇一三年の一月の政策委員会で決めた、コミットしたことであり、かつ政府との共同声明でもうたわれていることでありまして、この二%の物価安定の目標というのが物価安定という具体的な目標として挙げられていますのは、一つは、消費者物価指数には統計上のバイアスがあるとか、あるいは政策対応力を確保する必要があると、そのためには小幅のプラスの上昇率を目指すことが重要だと。その上で、現在でも米国や欧州の中央銀行はほとんど二%の物価安定の目標というものを目指して金融政策を運営しておられまして、そうした下では長い目で見た為替レートの安定にも資することになると思いますので、二%の物価安定の目標は日本銀行政策委員会自体がこのような点を踏まえて決定したものでありまして、物価の安定という日本銀行の使命を果たすためにはこの目標を実現していくことが引き続き必要であるというふうに考えております。

○風間直樹君 分かりました。麻生大臣の発言を否定された形になりますけれども、日銀の立場についてはよく分かりました。二%目標の達成に向けて引き続き政策を取っていくということで理解いたしました。
それで、前回日銀との質疑から今日に至るまでの間で一つ大きな変化が国際金融マーケットで起きたとすれば、アメリカ、FRBの資産圧縮停止の判断、そしてこの一月の利上げを目指していた方針を転換したという、この二つだろうと思います。
この二点は、当然、日銀の金融政策にも影響を与えていくんだろうと思いますが、総裁の御認識ではどのような影響を与えるというふうに考えていらっしゃいますでしょうか。

○参考人(黒田東彦君) FEDの金融政策そのものについて私が具体的にコメントするのは差し控えたいと思いますけれども、従来から、そして現在も、FRBは米国経済の安定と雇用の極大化を目指して適切な政策運営をされていると思いますので、御指摘のように、昨年の十二月の利上げ以降、国際的な経済情勢、やや中国や欧州を中心に減速が非常に広がっていったということと、金融資本市場がやや不安定化したということがありまして、そういったことも踏まえて金融政策を若干調整したと思いますけれども、それ自体は米国経済が物価の安定の下で順調に経済を成長させていくという面ではプラスになると思いますので、何かそれが日本経済あるいは日本の金融にとって何かマイナスの状況をつくり出すということは想定しておりません。
ただ、いずれにいたしましても、米国の金融政策というのは世界の金融市場に大きな影響を与えますので、そういった点からは引き続き注視してまいりたいというふうに思います。

○風間直樹君 次のお尋ねですけれども、先般、自民党の萩生田幹事長代行が消費税増税の延期に関する発言をしまして、随分ニュースになりました。
その中で、六月の日銀短観を一つの判断材料として挙げたわけですけれども、この日銀短観六月分が出るのが七月の一日と聞いておりますけれども、この短観の性質というものが果たして消費増税の延期を判断するものとして妥当なのかどうか、ちょっと私は疑問を持っておりまして、ここで改めてこの短観の性質についてお尋ねするのと、それから日銀がこの短観をどういう活用目的でやっていらっしゃるのか、その二点について答弁をお願いします。

○参考人(前田栄治君) それでは、技術的な面もありますので私の方からお答えいたしますけれども、もう御案内かと思いますが、私ども、短観については企業活動を包括的に四半期に一度調査するというものでありまして、その際に、企業のマインドだけではなくて、企業の設備投資計画とかあるいは売上げ、収益といった業績の見方ということについて尋ねているものであります。
したがって、企業活動を包括的に調べるという上では私ども極めて重要な調査というふうに考えておりますけれども、同時に、日本経済全体ということからすれば、当然、短観だけではカバーできない消費なり物価なり政府の活動なりというのがございますので、あくまで経済あるいは物価全体を判断する際には一つの重要な調査の一つと、こういうふうに捉えております。

○風間直樹君 私もちょっと萩生田さんの御発言は、まあ増税を延期したいという個人的な思いは強いのかもしれませんけれども、その方便として日銀短観を使うというのはちょっと無理筋なのかなという気がしたところです。
最後にちょっと基本的なことをお尋ねして終わりますが、日銀の資産買入れ方針の中で、ETFとJ―REIT、一定額目標を決めて購入するという話があるわけですけれども、その目的として、資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点からというのが議事要旨にも出てくるんですが、この資産価格のプレミアムというのは何かというのをちょっと、基本的で恐縮ですが、教えてください。

○参考人(黒田東彦君) これはいわゆるリスクプレミアムでありまして、リスクプレミアムの測り方はいろいろな指標がありますので、それらで総合判断せざるを得ないとは思いますけれども、株式あるいは不動産といったですね、金融資産の投資は、預金とか国債のような確定利付きの金融商品と違った、リスクが大きいわけですね。したがって、当然のことながら、そのリターンは高くなければいけないわけですけれども、そういったものが経済の実勢よりも悲観的になってリスクプレミアムが大きくなってしまっていると、なかなか株式による資金調達とかあるいは不動産への投資というのが経済の実態ほどに進まない可能性があるわけですね。ですから、そのリスクプレミアムを縮小することによってそういった株式市場とか不動産市場が適切に機能するようにするということで、現在の金融緩和のシステム全体の中でこれを行っているわけです。
ただ、株式などを見ましても、ETFで買っているとは言っても、日銀が保有している残高は四%程度ですので、何かそれがすごく株価に大きくプラスになるとか、リスクプレミアムを一挙に大きく削減できるとか、そういうものではないんですけれども、弾力的なETFの買入れによって、リスクプレミアムが拡大したようなときに、日銀がETFを通じて株式を購入することによってそのリスクプレミアムを圧縮するという意味の効果はあるのではないかと。
なお、J―REITの方は、マーケットも小さいですし、日銀の買入れも極めて小幅になっておりまして、またその金額もずっと一定額を保っておりまして、増加させておりません。ETFは、御承知のように、何度か増加させたわけであります。

○風間直樹君 このETFの買入れについてはいろんな議論がマーケットにありまして、そこをちょっと議論したかったんですが、時間が参りましたので、また次回させていただきます。
ありがとうございました。