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国会質問レポート

Report

2015.8.4 財政金融委員会 質疑


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https://www.youtube.com/watch?v=xoDKC2AdDZM

 

【議事録】

○今日は、最初に、配付資料の一枚目に日銀が保有する利付国債の残高等という最新の資料を付けました。本年の七月十七日時点のものでありまして、本日の議事録の末尾に添付をすることによって国民の参考に供したいというふうに思います。
さて、今日は、前回に続いて日銀の岩田副総裁に質問をいたします。
前回、六月十六日、私の質疑の際に副総裁は、超過準備への付利上昇で逆ざやが生じることがあり、その場合には自己資本が減少するので剰余金を積み増していると答弁されました。この答弁の背景にある認識、現在の日銀の金融政策が持つリスクとして何を想定していらっしゃるのか、全て列挙していただきたいと思います。

○参考人(岩田規久男君) 量的・質的金融緩和の下で資産を大量に買い入れておりますので、先行き日本銀行の期間収益や自己資本に影響を及ぼすということが考えられます。

○風間直樹君 ちょっと聞こえにくいので、マイクに近づけてください。

○参考人(岩田規久男君) はい。
日本銀行の期間収益や自己資本に影響が生じるケースとしては、まず第一に、買い入れたETFやJ―REITの価格が下落して時価が簿価を下回る場合であります。第二は、出口に当たって多額の超過準備を保有しておりますので、金利水準を上げていく際に、保有国債の利回りが超過準備に対する付利金利を下回って逆ざやになる場合が考えられます。
以上です。

○風間直樹君 最近、マーケットの関心は専らアメリカがいつから金利を引き上げ始めるかということなわけですが、早ければ九月というふうに言われています。バンク・オブ・イングランドの場合は、八月中にも利上げを開始するという話も出ているわけです。
この内外金利差の拡大、今後起きてくるかと思われていますが、副総裁はこの点のリスクの認識はどのように考えていらっしゃいますか。

○参考人(岩田規久男君) その点に関しては、特別リスクを感じてはおりません。

○風間直樹君 本当ですか。本当に今の御答弁でいいんですか。ちょっと私はびっくりする答弁だったんですが、もう一度確認します。

○参考人(岩田規久男君) 内外金利の格差、例えば米国と日本との場合、それは一つは円安要因にはなります。ですが、それをもう既に織り込んでいると、既にそれはもう円安にならないという、そういう点で必ずしも金利差が起こってから起こるというわけでもないという、その可能性はちょっと事前には、市場がどこまで織り込んでいるかによって違いますので、それはちょっと私からは分かりかねます。

○風間直樹君 アメリカの金利の今後の引上げを現在日本のマーケットは既に織り込んでいるので、それは既に現在の為替水準に反映されているはずだと、こういう御答弁でした。
FEDが見込んでいるのは、二〇一七年でFFレートが三%程度、一八年には四%程度という水準であります。市場参加者は、十年物の米国債が一七年で四%、一八年には五%程度というような水準を見込んでいると言われています。つまり、日米の金利差が近々これだけ拡大していくということですね。要するに、日銀の異次元緩和をめぐる環境というのがこれから劇的に変わってくると。
さて、そうすると、現在一ドルが百二十四円前後で推移していますけれども、岩田副総裁のお考えでは、今後アメリカが金利水準を引き上げていっても現在の為替水準はほとんど変わらないだろうと、これでよろしいんですか。

○参考人(岩田規久男君) 先ほど申し上げましたのは、市場が織り込んでいる場合にはそれほど大きな変動はないということですが、そうでない場合には必ずしもそうではないということをお答えいたしました。ですから、今織り込んでいるから絶対もう変わらないんだというふうには申し上げたわけではありません。
それから、アメリカが上がってくる場合だけでなく、日本の場合にも経済、金利状況はこれから変わってくる状況もありますので、日米金利差が将来どのぐらいなるかということはちょっと事前に予想することはなかなか難しいという状況です。

○風間直樹君 もう一度確認しますが、そうすると、岩田さんは、今後アメリカの金利水準が上がっていった場合も、円・ドルの為替相場が円安に相当振れていくことは考えにくいとおっしゃるんですね。

○参考人(岩田規久男君) 為替は金利差にも影響されるということで今、先ほどから申し上げているわけですが、それ以外にもいろいろインフレ率、予想インフレ率とかその他の予想であるとか、リスクプレミアムに影響する要素とか、いろいろな要因がありますので、為替の予想をすることはなかなか難しい状況です。
いずれにしても、為替は経済や金融のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいということで考えております。

○風間直樹君 この一連の答弁はかなり驚くべき答弁でありまして、日銀の副総裁という方がこういう認識で果たしてマーケットは大丈夫なの、安心できるのかなと、正直不安に思っております。
そうすると、岩田さんは、アメリカの金利水準が今後上がっていく中で円安に振れていく可能性というのは、今の御答弁だとそれほど高くないと、どうも深刻には捉えていらっしゃらないようですから、今後日銀が金利を引き上げて円の防衛をする必要性というのは余り感じていらっしゃらないわけですね。

○参考人(岩田規久男君) 日本の今やっている金融政策は、物価安定、二%の物価安定を達成するということを目的にやっておりますので、為替とか、そういうことを中心にやっているんじゃなくて、物価安定ということを通じて経済を良くするという、そういう前提で金融政策を運営しております。

○風間直樹君 いやあ、驚きの連続です、今日の答弁も。
そうすると、日銀の今の目標に照らせば、為替水準がどう動くか、それに伴って日銀が我が国の金利水準をどのように変更していくか、これは現在のところ余り眼中にないわけですね。

○参考人(岩田規久男君) 繰り返しますけれども、日銀の金融政策は今物価安定目標を達成するためにやっているということであります。そして、その物価安定二%というのは、一つの経済ファンダメンタルズであります。そのファンダメンタルズの一つの要素でありますので、そのファンダメンタルズの要素に基づいて為替相場が付いてくるということには問題はないというふうに思っております。

○風間直樹君 金利水準が日米で開いてくるということは、これ常識的に円安ドル高の方向に今後ますます行くと。そうすると、当然、輸入物価が上がってきますから、ガソリンの価格も上がるほか、そうすると様々な国内の消費、生産を圧迫することになります。物価全体が上がっていく。
そうなると、当然、中央銀行としては、この物価の好ましくない上昇、これ賃金の上昇が伴えばいいですよ、そうでない好ましくない上昇を、金利水準を引き上げて円安を抑えようとするのが、これあまねくどこの国でも当然の金融政策かと思いますが、こういうルートは想定していらっしゃらないんですか。

○参考人(岩田規久男君) 各国とも金融政策というのは国内の物価安定のためにやっていると、アメリカの場合はもう一つ雇用の安定がありますけれども、基本はそれでありまして、為替レートはその下で結局市場で決まるという考え方でありまして、これはG7やG20でも共通の認識だと理解しております。

○風間直樹君 私は、岩田さんという方はもう少し金融政策について見識のある学者でいらっしゃるかと思っていたんですが、今日の答弁を聞いてその認識を改めることにいたしました。これは、あなたが副総裁の下で日銀の金融政策を今後も取り続けるのであれば、我が国の経済が今後非常に大変な影響を被る可能性があると言わざるを得ない、そのことをまず表明しておきます。
次に、日銀のETFの購入でありますけれども、先日、私は、あるマーケット関係者と話をしていまして非常に驚くような話を聞いたんですけれども、その関係者いわく、日銀、現在、ETFを一回当たり大体三百三十億円程度でしょうか、買っているけれども、これは実はマーケットを通していないというのが関係者の大方の見方だと。場外で買っていると。これは事実でしょうか。

○参考人(岩田規久男君) ETFの買入れにつきましては、信託銀行を通じて買入れをいたしております。
この信託銀行を具体的に申しますと、当日の取引所における売買高加重平均価格で証券会社から、買っておると。この取引所で決まっている売買高加重平均価格というのは一つの市場の価格でありますので、決してマーケット以外から買っているというふうには思っておりません。

○風間直樹君 マーケットを通して買っているということですね。
一方で、いずれこのETFを日銀が売却するタイミングが近い将来来るわけですけれども、これ、一回の売却でどれぐらいの金額を売るかは分かりませんけれども、今購入しているのが大体三百億円単位ですから、そうすると百億円単位になるんだろうというふうに考えています。
これは逆に、大きな株価、相場の下げ圧力になるのではないかと思うんですけれども、御認識、いかがでしょうか。

○参考人(岩田規久男君) ETFを今後どういうふうにしていくかということに関しては、今決めておるわけでありませんので、言わば出口に相当する話でありますので、そのお話をするのは時期尚早だというふうに思っております。

○風間直樹君 時期尚早と。一方で、内部ではこれは議論されていらっしゃるんですか。

○参考人(岩田規久男君) 内部では幾つかのシミュレーション、この場合はどうか、この場合はどうか、この場合は金利水準はどういうふうに移動する、移行するだろうかとか、そういうシミュレーションは幾つかしております。検討しております。

○風間直樹君 そのシミュレーションの結果、岩田副総裁は、こうしたシミュレーションに基づけば心配ない、問題ないと、こういう認識でいらっしゃいますか。

○参考人(岩田規久男君) そのシミュレーションに基づけばいろいろあって、こういう場合にはこうであって、一番心配のない経路だというような経路が幾つか出てくるわけでありますが、もう一つ、この問題は市場とのコミュニケーションが非常に大事だということでありまして、したがって、コミュニケーション上、非常に慎重にしないと市場がかえって誤解するとか、あるいはオーバーリアクトするということがありますので、コミュニケーションはこれは注意していかなきゃいけないというふうに思っております。

○風間直樹君 このコミュニケーションは相当至難の業だと私は思います。
当初、日銀がETF購入を始めたときには、マーケットは非常に反応しました。最近では、このサプライズも効果が薄れてきたのか、さほどマーケットの反応が以前に比べると大きくないように思います。
一方で、日銀という大きなアクターがマーケットで今度は大きな規模の売りを出していくとなると、これどんなコミュニケーションをしようにも、その売りのインパクトというのは和らげるのは非常に難しいと思いますが、その点については何かお考えはありますか。

○参考人(岩田規久男君) いずれにしても、具体案をここで語ることはちょっと、コミュニケーションの在り方も含めて時期尚早だと思いますが、いずれにしても、市場の安定を最大限配慮しながら実施するという気持ちでおります。

○風間直樹君 次の質問ですが、六月十二日に日本記者クラブで安保法制に関する緊急会見というのがありまして、これ、山崎拓さん、それから藤井裕久さん、亀井静香さん、それから武村正義さん、この四方だったんですが、私、その場に聞きに行ったんですね。そのとき実は、報道はほとんどされていませんけれども、藤井裕久元財務大臣から非常に驚くべき発言がありました。
それは、この日銀の金融緩和については、アメリカが肩代わりを求めている、軍事も経済も日本がばらまきをしろという趣旨の要請を日本に対してしていると、こういう発言でありました。異なる場所でも同様の発言を藤井さんはされていらっしゃいます。
このように米国当局から金融緩和をするよう要請があるのは事実でしょうか。

○参考人(岩田規久男君) 日本銀行の金融政策はあくまでも政策委員会の責任と判断に基づいて行っておりますので、アメリカ当局から金融政策の実施に関して具体的な要請があったという事実はありません。

○風間直樹君 分かりました。
ただ、藤井さんも大蔵省出身、元財務大臣ですから、その御発言は看過するわけにはいかないというふうに思います。
さて次に、配付資料の二枚目なんですけれども、私、今年の八月号、ちょうど今まだ発売中の月刊の文芸春秋を見ておりまして、ここに日銀OBの翁邦雄さんの論文がございました。「黒田日銀総裁、あなたは間違っている」というタイトルの論文です。これを読んでいてそうだったのかと思いましたのは、岩田副総裁が就任前に、前任の総裁、副総裁を非常に厳しく批判されているという事実があるわけです。
例えば、この配付資料、論文の二枚目のページに傍線を引きましたが、このように書いていらっしゃいます。「金融政策の枠組みを変えると同時に、これまで、とんでもない「日銀理論」を振り回して、デフレを誘導する政策を続け、国民を塗炭の苦しみに追いやってきた日銀の総裁・副総裁および審議委員を解任し、責任を取らせるべきである。」と。これは二〇一二年の「Voice」の七月号、岩田規久男さんの「日銀・白川総裁を解任せよ」という論文であります。
この論文に代表されるように、岩田さんは、日銀法改正によって二、三%程度のインフレ目標を一年半から二年程度で達成するよう日銀に義務付けると同時に、白川総裁体制下の総裁、副総裁及び審議委員を解任し責任を取らせるべきと幾つもの場でおっしゃっています、書いていらっしゃいます。
このことについて、現在あなたは、就任以来二年半がたとうとしている今、御自身が公約されたことをまだ達成できていません。前任の白川総裁あるいは副総裁以下の方々に対して今のあなたから何かおっしゃることはありますか。

○参考人(岩田規久男君) その論文を書いた頃はずっとデフレがもう何十年も続いておりまして、私が一番心を痛めたのは、私は大学で教えておりましたので、学生が非常に、就職氷河期といった言葉に代表されるように、就職難に非常にあえいでいたのを目の当たりにしたわけです。もう面接を何十回受けても受からないというような状況でありました。そのような状況で、非常に失業率も高く、有効求人倍率も一を割っていたわけでありますので、そういうようなことはやはり金融政策によって解決できるんだというふうに思っておりました。
そういう気持ちで、そうでないと、現役の世代がそういう就職難にいたのでは、生産する能力が日本経済になくなりますので、結局財政も年金ももたなくなるという、そういうことで、私、絶望的な気持ちに実はなっていた、それが強いそういう批判になってしまったということであります。
私は以前から、デフレ脱却のために金融政策によって人々のデフレ予想をインフレ予想に転換することが重要だと言ってきたわけでありまして、量的・質的金融緩和もこの考えに沿ってデフレマインドを大転換するということを主眼にやってきているわけであります。そのために、物価二%にコミットメントした上で、これほど大規模な金融緩和をせざるを得ないということであります。
実際に、量的緩和導入後の日本経済の動きを見ると、需給ギャップは改善し、失業率も低下し、企業収益は今過去最高の水準に達しておりまして、多くの企業で二年続きでベースアップを含む賃金も上げておるし、あるいは企業の価格設定行動を見ても付加価値を高めつつ販売価格を引き上げる動きがありまして、デフレマインドの転換は着実に進んでいると。
そういう状況ですので、今後も量的金融緩和を着実に進めて、少し遅れています、達成の遅れています二%物価目標をできるだけ早く実現するというのが私に与えられた責務だと今は考えております。

○風間直樹君 あなたの公約である物価目標二%は今日現在まだ達成されていません。あなたが過去に書いた論文に基づけば、今、あなたは日銀の副総裁を罷免されていなければいけません。現在の心境で、あなたが過去書かれたことについて、日銀の前任、白川総裁以下、副総裁、皆さんに謝罪するお気持ちはありますか。

○参考人(岩田規久男君) それはちょっとコメントを差し控えさせていただきますが、要するに、私が副総裁に就任した際には、目標が達成できない場合にまず果たすべきは説明責任だということを申し上げました。したがって、その説明責任が達成できないという、例えば、今、実際、物価の基調がデフレに向かっているかどうか、この金融政策が間違っているかどうかということでありますが、そういうことに関して説明責任ができない場合に、いろいろな責任の取り方があるけれども、最終的には辞任であろうということを申し上げたので、これは政治家であれ誰であれ、説明責任が取れなかった場合には最終的には辞任ということは、これはどこでも当然のことだというふうな感じで申し上げたわけであります。

○風間直樹君 終わります。

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